生きることでなぜ、たましいの傷が癒されるのか

この本は心理学の本ではなく、民族誌です。

ただ、心の傷を抱える人々がどのように生活を立て直し、コミュニティを再び作り直し、人生を歩んでいくのか、その克明な記録であり、心理学的な視点からみても考えさせられる本でした。

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少し時間ができた時に読んでみたいと思っていました。

この本で取り上げられているルワンダは、紛争により、ほとんどの住民が心に傷を負うことになりました。このような状況に置かれた時、果たして人は、どのように回復の道を探せばいいのだろうか、傷つきは癒えるのだろうか、それを知りたいと思ったのです。

また、この本を紹介された時に、欧米から持ち込まれた”心の支援”が失敗に終わった地域だということを教えてもらいました。それも関心を持ったきっかけです。

私はトラウマ治療に長く携わっていますが、1対1での専門的なケアが、どんな時でも役立つとは限らないと思っています。一方で、役立てる時もあると思っています。そのあたりを、自分の中でも整理したかったのかもしれません。

この本を読み、日々の積み重ね、毎日の生活の大切さ、助けあうこと、助け合うコミュニティの大切さ、その中で少しずつ癒されるものがあることを痛感しました。

心の支援が失敗した理由は複数あると思いますが、本書でも触れられているように“お仕着せ”がよくなかったのだろうなと思います。それは、ある意味当たり前のことかもしれません。

その国の、その地域の、文化や習慣、宗教観はとても大切で、それに沿った支援をすることで、初めて役立つものになるのだろうなと感じます。

トラウマケアとして、EMDRという技法は役立つと思っていますが、いつでも、どんな形でも役立つわけではないと肝に銘じつつ、相談者様に寄り添っていきたいという思いをより一層強くさせてもらいました。