トラウマによる症状:回避

外傷的な体験(トラウマ)によってできた心の傷は、さまざまな症状を引き起こします。
その1つに回避があります。
外傷的な体験(トラウマ)は強い苦痛を引き起こすため、その記憶がでてこないように、思い出させるような可能性のあるものを避けようと考え、実際の行動も影響されます。
例えば、転んでひざに擦り傷ができたとします。病院へ行くほどでない場合は、流水でよく洗い、傷口を保護するために絆創膏を貼ります。その後も膝をつくなどの行動は控えるでしょうし、膝を大きく動かすような運動は一時的にやめるかもしれません。これは、けがを早く回復させるために必要なことでしょう。
ところが、もし骨が折れ、大きな血管が破れていたらどうでしょう。痛いからといって、痛み止めだけを飲み、傷口の表面だけを保護していたら、回復を後押しするどころか、さまたげになります。何とか回復したとしても、膝が曲がらなくなる、歩けなくなるなど、後々困った症状がでてくるかもしれません。
からだのけがであれば納得できることでも、こころのけが、つまり外傷的な体験(トラウマ)の場合はどうでしょうか?
「つらくなるから思い出したくない」
「早く忘れるのがいいこと」
「気分転換をしたらよくなるかもしれない」
と考えがちで、ふいに思い出されるきっかけとなる物・場所・出来事を避けるようになりがちです。
こころの回復力の範囲内であれば、自然と外傷的な体験(トラウマ)による影響は小さくなっていきます。
半年以上経っても、様々な症状が出てくる場合は、何らかの対処が必要な可能性が高くなります。実は、10年、20年経ってからご相談にみえる方も多くいらっしゃいます。どうしたらよいのか悩み、迷われ続けたというお話もよくうかがいます。それだけ時間が必要だったということでしょうし、ケアを始めるのに遅すぎるということはありません。迷われる場合は、一度専門家へのご相談くださればと思います。

